2025年5月28日、VTIグループの最高技術責任者（CTO）であるPham Thanh Ha（ファム・タイン・ハー）氏は、5月27日〜28日にハノイで開催された「Vietnam – Asia DX Summit 2025」の一環として行われたパネルディスカッション「国際的な事業連携の拡大――企業の成功事例から学ぶ」に登壇しました。本イベントは「テクノロジーを制する――ブレイクスルーと飛躍の成長へ」をテーマに、ベトナムソフトウェア・ITサービス協会（VINASA）が主催したものです。
ディスカッションでは、Ha氏がASOCIO、JISAなどの国際団体の代表者とともに、国境を越えたデジタルパートナーシップの推進に関する戦略的な課題について深く意見を交わしました。議論の内容として、各企業の実践的な事例、法的環境整備における政府の役割、デジタルトラストの重要性、そしてベトナム企業のグローバル展開を支援する政策の方向性などが取り上げられます。
国際市場での成功の鍵
VTIグループはベトナムデジタルテクノロジー企業トップ10の1社として、現在1500名以上の従業員を擁し、国内外の主要市場であるベトナム、日本、韓国、シンガポールに、8つの事業拠点を構えています。設立から7年間を経て、国際市場への目覚ましい展開を遂げました。これは、当初からのグローバルマインドセットと、一貫した成長戦略、そして効果的な実行の成果です。
Ha氏は、VTIがこれまで力強く展開してきた歩みを、以下4つの基盤となる方針で紹介しました。
- 設立初期から明確な「Go Global（グローバル展開）」戦略の策定
設立当初から、国際市場を主要市場と位置付け、グローバルIT企業となることを目指してきました。 - 現地市場を深く理解し、顧客ニーズに対応できるチーム体制の構成
日本、韓国、シンガポールなど、文化・商習慣・業務プロセスへの深い理解が求められ、品質の基準が厳しい市場で、現地の顧客と直接やり取りできるマネジメントチームを揃えています。 - 品質重視の姿勢と、長期的な信頼関係の構築
弊社は、品質が信頼関係構築の土台と捉え、世界中の顧客の厳格な要件に応えるため、国際標準（ISO 27001:2022、CMMIレベル3など）に準拠したソフトウェア開発プロセスをいち早く導入しました。 - 継続的な技術革新と応用研究への投資
VTIはアウトソーシングサービスの提供にとどまらず、自社製品の研究開発にも積極的に取り組んでいます。AI・生成AI、IoTなどの先進技術を活用し、製造の生産性および品質向上を実現することを目的として、2018年から研究開発部門を立ち上げました。
AI――画期的な変化をもたらすゲームチェンジャー
同ディスカッションの中で、Ha氏は企業の運営と変革の在り方を再定義する上での人工知能（AI）の役割を強調しました。VTIはAI活用企業への成長を目指し、ソフトウェア開発・運用業務を支援するローコードシステムとV-Copilotツールを開発しました。社内でAIの活用を幅広く推進するとともに、生産性向上とコスト削減の両面でAIを有効活用できるよう、人材育成にも注力しています。
Ha氏はまた、GitHub Copilotといった最新AI搭載ツールは単なる開発支援ツールにとどまらず、プロンプト・エンジニアリング、エージェント・オーケストレーション、AIとの協働など、未来の開発者に求められる不可欠なスキルを生み出す、新たな働き方を切り開くものだと述べていました。
責任――持続可能な国際協力の基盤
同ディスカッションの最後で、Ha氏は国際協力における責任の重要性を強調しました。これは、VTIの３つのコアバリュー（尊重・責任・改善）の1つでもあります。技術の発展と世界のフラット化が急速に進む中、AI活用における情報セキュリティや倫理面でのコミットメントを遵守するなど責任を重んじることは、ベトナム企業がグローバル化の道を力強く歩むための土台になると期待されています。
