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「2025年の崖」とは?その影響と日本企業への警鐘

12月 11, 2024
What Is The 2025 Cliff? Why Japanese Business Owners Can't Ignore The 2025 Cliff Anymore

2018年に経済産業省(METI)が「2025年の崖」という課題を提示してから6年が経ちましたが、多くの企業が依然として老朽化した既存システムによるリスクに直面しています。

2025年が近づくにつれ、「2025年の崖とは何か?」ではなく、「対策を怠ると企業はどうなるのか?」が問われています。本記事では、「2025年の崖」の定義と問題点、そしてその克服方法について解説します。

2025年の崖 とは 

「2025年の崖」とは、熟練IT人材の退職や、老朽化・複雑化した既存システムの課題により、2025年以降に深刻な経済損失が生じる問題を指します。

METIによれば、この問題を解消しなければ、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があるとされています。レガシーシステムは「時限爆弾」のようなもので、放置すれば企業全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

「2025年の崖」と「2025年の壁」、どちらが正しいか?

「2025年の崖」は「2025年の壁」と混同されがちですが、「壁」は解決して乗り越えられる課題を指す一方、「崖」は一度落ちると再起が難しい課題を意味します。

日本は老朽化した既存システムが抱える課題に直面しており、このままでは業界全体に重大な影響を及ぼす恐れがあります。だからこそ、「壁」ではなく「崖」という表現が用いられているのです。

「2025年の崖」問題とは?

2025年の崖 の問題点は以下の通り:

  • IT人材不足:熟練したIT技術者、特にレガシーシステムに対応できる技術者の多くが退職年齢に近づいています。2025年までに、その約60%が50歳以上になると予測されています。
  • 知識移転の課題:熟練者の退職や高齢化により、レガシーシステムを理解できる若手エンジニアが不足し、知識移転が困難になっています。
  • レガシーシステムの複雑化:多くの重要な業務やシステムは、COBOLのような時代遅れのプログラミング言語で数十年前に開発され、複雑かつ文書化が不十分なため、維持や更新が困難になっています。       
  • 技術の陳腐化:老朽化した既存システムは、最新の技術インフラ、クラウドコンピューティング、デジタル技術と互換性がなくなり、重大な運用リスクを生み出しています。

 2025年の崖 に関する衝撃的な数字

2025年の崖 は困難に思えるかもしれませんが、企業が制御できない人口動態の変化に焦点を当てるのではなく、技術革新に取り組むことが重要です。

しかしながら、METIの最新データによれば、多くの日本企業は近代化への重要な一歩を踏み出せておらず、この緊急課題への対応が遅れている状況が明らかになっています。

  • 日本企業の約80%が未だにレガシーシステムに依存しています。  
  • 日本国内のITシステムの約60%は、2025年までに導入から20年以上が経過するとされています。
  • 約40%の企業が、予算の90%以上をレガシーシステムの維持管理に費やしています。
日本では、多くの業界が依然としてレガシーシステムを使用しています。
日本では、多くの業界が依然としてレガシーシステムを使用しています。

これらの数字は単なるデータではなく、技術の陳腐化による「時限爆弾」を示しています。それにもかかわらず、なぜ企業経営者はレガシーシステムの廃止に踏み切れないのでしょうか。

経営者が直面するレガシーシステム刷新の阻害要因 

デジタルトランスフォーメーションの必要性は明らかですが、多くの日本企業はレガシーシステムの刷新において大きな障壁に直面しています。2022年に行われた日本情報システムユーザー協会(JUAS)の調査によると、主な課題は以下の通りです。

レガシーシステム刷新の阻害要因
レガシーシステム刷新の阻害要因

本調査によれば、日本におけるレガシーシステム刷新の最も重大な阻害要因は、「システムの複雑化」(60.7%)と「IT投資の増加、予算確保」(49.5%)になっています。さらに高度人材の不足、プロセス変更への抵抗や経済的不確実性も挙げられます。加えて、技術知識の不足や刷新の利点の過小評価が企業の前進を妨げています。それらを乗り越えるには、戦略計画の策定、段階的なアップグレード、政府支援の活用、およびシステム刷新の長期的価値に対する関係者の意識向上が重要です。

2025年の崖 への対策戦略

2025年が近づく中、企業はもはやこれらの課題を先延ばしにしたり、無視したりできなくなっています。多くの企業が複雑化したシステムの管理やコスト・人員不足の克服に苦慮しているのが現状です。 

システム複雑性の対策として、以下が挙げられます。 

  • 段階的な刷新:一度に全面的な刷新を行うのではなく、重要なコンポネントから着手し、クラウド移行やマイクロサービスアーキテクチャなどの先端技術を段階的に統合しながら、管理しやすい形でシステムを移行します。
  • 高度分析ツール:コード自動解析や依存関係マッピングなどのツールを導入して不要なモジュールを特定してシステムアーキテクチャを合理化します。

事例紹介「AIはどうやってVB.NETからPHP 8への移行において生産性を4割向上させたか」のご参照はこちら

  • 標準化:ITインフラ全般でプロセス簡素化・統一化することで、システム管理において断片化や不整合を減少させます。

コスト・人員制約の対策として、以下が挙げられます。

  • グローバル人材の活用:アウトソーシングサービスを通じて、企業はIT人材が豊富な地域や高度なスキルを持つ専門家コミュニティにアクセスし、活用することができます。これにより、日本における労働力の高齢化や技術人材の不足といった課題の解決が期待されます。
  • オフショアのICT(情報通信技術)ベンダーとの連携:オフショア開発企業のアウトソーシングサービスを活用することで、運用コストを最大5割まで削減できます。オフショアチームは、手頃なコストで社内チームと同等の品質を提供することが一般的です。

VTI:理想的なアウトソーシングパートナー

VTIは以下の強みで課題を解決し、企業を支援します。

  • 豊富な専門知識および実績:長年にわたり日本企業を支援してきた経験から、VTIは技術面・文化面での日本市場のニーズを深く理解しています。
  • 費用対効果の高いソリューション:オフショア拠点を活用し、若く優秀な人材を競争力のある価格で提供し、高品質なサービスを予算内で実現します。 
  • エンドツーエンドのサポート:複雑なシステム管理から最新のDevOps導入まで、包括的なサービスで、柔軟で未来を見据えたITインフラへのシームレスな移行を支援します。

VTIとの提携により、システムの複雑化や人材不足といった課題を解決するだけでなく、2025年の崖 に向けた持続的な成長と企業の強靭性を確保できます。

レガシーシステム刷新向けの弊社サービスはこちら

まとめ

2025年の崖 は、単なる技術的課題を超えた、組織の存続を左右する重要な局面です。ただし、段階的な近代化と信頼できるアウトソーシングパートナーの支援で乗り越えられます。

VTIは、システムを簡素化し、スキルギャップを埋める費用対効果の高いソリューションを提供し、迅速な対応で企業の成長と安定をサポートします。

既存システムの刷新に関するソリューションは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参照元

METI(2024) – ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開

JUAS(2022)- 企業IT動向調査報告書2022  

 

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