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仮想待合室ソリューション :チケッティングシステムのスケーラビリティ向上、高トラフィック時のオンラインチケット販売最適化

3月 10, 2025
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お客様は、1973年に設立された日本の大手ITソリューションプロバイダーです。デジタルトランスフォーメーション(DX)、クラウドコンピューティング、AI駆動のイノベーションを専門とし、ITコンサルティングから企業の業務最適化、成長促進まで包括的なサービスを提供しています。 

同社は現在、プロ野球チームやサッカーチームなど、日本の主なスポーツクラブのチケッティングシステムを運営しています。拡張性、コスト効率、カスタマイズ性を向上させるため、既存のシステムと同等の機能を備えたオンラインスポーツチケッティングシステム用の社内仮想待合室プラットフォームの開発を求めていました。

お客様の要件

お客様は、日本の主要な野球・サッカークラブのオンラインチケッティングシステムを運営しています。これらのスポーツクラブは日本で大規模なファンベースを持ち、チケット販売開始時のトラフィックは2万人から10万人の間に達することがあります。このような高トラフィックは、チケットシステムに極めて大きな負荷をかけ、安定性と公平性を確保するための堅牢なソリューションが必要となります。

ピーク時のトラフィックを管理し、サーバーダウンを防ぐために、第三者の仮想待合室(VWR)サービスを使用していましたが、次のような課題に直面しました。

  • 高コスト:第三者のサービスはパッケージで提供されており、拡張に伴うコストが高額になっていた。
  • カスタマイズの制限:VWRパッケージは、特定のビジネスニーズに合わせた柔軟なカスタマイズができない。

これらの課題を解決するため、お客様は、既存の第三者ソリューションと同等の機能を持ちながらも、コスト効率と柔軟性に優れた自社開発の仮想待合室プラットフォームの構築を目指しました。 

※仮想待合室は、チケット販売時の急激なアクセス増加によるサーバーダウンを防ぐために使用されます。事前に設定された上限に達すると、「ストア」(アクティブセッション)内のユーザー数が制限され、それ以降の新規ユーザー(新規セッション)は仮想待合室のキューに追加されます。

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展開するプラットフォームの要件:

  • リアルタイムのインフラ拡張、トラフィックの急増への対応:大規模な試合やトーナメントのチケット販売時にユーザー数が0から200万人まで急増してもスムーズに動作できる。
  • システムの安定性確保:高負荷時でもシームレスなユーザー体験を維持する。
  • 不正行為の防止とセキュリティ強化:ボットや許可されないユーザーからの不正なチケット予約を防止するボット対策を実装する。
  • ユーザー体験の最適化:インターフェースが使いやすく信頼性があり、スムーズにチケットを購入できる。
  • チケット販売の公平性確保:複数のユーザーが同時に同じ座席を選択することを防ぎ、システム内での競合を回避する。
  • 社内以外の将来的な商用展開への対応:このシステム・プラットフォームは、社内利用だけでなく、将来的に商用化を見据え、他企業へのライセンス提供が可能な柔軟な設計にする。

ご提案のソリューション

お客様は、第三者の 仮想待合室ソリューション による高コストとカストマイズ性の制限といった課題を解決するため、自社で仮想待合室プラットフォームを開発することを決定しました。VTIはクラウドベースのインフラとスケーラブルなソリューションに関する豊富な専門知識が高く評価され、導入ベンダーとして採用されました。

VTIがご提供したフルサイクル開発

信頼できる導入ベンダーとして、以下を含むフルサイクル開発を実施しました。 

プロジェクト計画・管理 → 要件定義 → プラットフォーム基本設計 → 詳細設計 → 製造 → 単体テスト(UT) → 結合テスト(IT) → 総合テスト(ST)

AWSベースの 仮想待合室ソリューション (VWR)ソリューションを調査して最適なアーキテクチャを選定しました。

  • シンプルなソースコードのLambda関数を分析・最適化し、実装効率を向上
  • ソリューションの詳細なフレームワークを整理し、技術ドキュメントとしてお客様に提出
  • お客様のAWSアカウント上にインフラを構築し、既存のチケット販売システムとシームレスに連携
  • デモ用途として事前待機室機能の開発・検証を実行
  • 継続的インテグレーション・継続的デリバリー(CI/CD)パイプラインを導入し、開発プロセスの最適化やアップデートの効率化を実現

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仮想待合室プラットフォームの主な機能

  1. 事前待機室:実際の待合室が開始する前に、訪問者がチケット販売開始まで受付番号を受け取らないようにするための事前待機室を設置する。同時に入室した訪問者には、受付番号をランダムで割り当て、公平性を確保する。一方、待合室が開始した後に入室した訪問者は、到着順に受付番号を取得する。
    事前待機室を「0」と設定した場合、待合室が即時開始される。
  2. 待合室レイアウトのカスタマイズ:待合室・事前待機室の画面は、使いやすさを維持しながら、ブランドのビジュアル・アイデンティティに合わせるために、カスタムテンプレートで表示できる。
  3. マルチドメイン対応:統一されたシステムで複数のチケット販売Webサイトを、異なるドメインごとに個別設定で管理する。例:同じ仮想待合室システムを用いて同時にサッカークラブと野球クラブの待合室を管理できる。
  4. 複数待合室の設定:同時開催のイベントごとに、待合室を個別にカスタマイズできる。例:2つのスポーツトーナメントが同時に開催されている場合、仮想待合室が2つ作成される。
  5. キュー保持:ユーザーが待合室から一旦離れても元の順番を維持したままで待ち行列に戻ることができる。
  6. メール通知:順番が回ってきた際に、ユーザーへ通知を送信する。
  7. 良性ボットバイパス:ユーザーエージェント認証とボット対策ツールを活用して認証されたボットが待合室をスキップできるようにする。
  8. IPベースのアクセス制御:特定のチケット販売、アクセス権の付与やプロモーションプログラムなどにおいて、指定したIPアドレスからの訪問者が待合室をスキップできるようにする。
  9. リアルタイム分析・監視:待合室のトラフィックをリアルタイムで分析し、ユーザーフローの最適化やシステムの安定性向上を支援する。
  10. 招待制待合室アクセス:特定のメールアドレスで認証された訪問者のみが入室できる。入室を許可しないメールアドレスは事前または運用中に設定可能で、通常の待合室と併用可能とする。
  11. ピークモード管理:通常モードとピークモードを切り替え可能とする。ピークモードでは、指定したアクセス数を超えた場合に待合室を発動する。例:最大入室者数を1分あたり50人に設定すると、51人目以降は待合室へ誘導される。

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プロジェクト規模

  • 開発期間:4ヶ月以上 
  • 開発形態:ハイブリッド(オンサイトとオフショア)

使用技術

  • AWSのサーバーレスアーキテクチャの以下のサービスを活用しています。

AWS API Gateway | AWS Lambda | AWS CloudFront | AWS CloudWatch | AWS DynamoDB | AWS ElastiCache (Redis) | AWS SQS & SNS | AWS CloudFormation | AWS CodePipeline & CodeCommit (CI/CD用)

  • バックエンド:Python 
  • フロントエンド:Vue.js 

成果

お客様は、このプラットフォームのパフォーマンスを高く評価し、特にインフラ制約がある中でも大量のトラフィックを処理できることを称賛しました。初期段階では、徹底的な調査・計画を行い、包括的な負荷テストを実施することで、システムの堅牢性を実証しました。その結果、お客様の取締役会はさらなる開発を承認し、弊社に仮想待合室(VWR)プラットフォームの本格導入を委託し、他業界への商用展開への道が開かれました。

スマートな仮想待合室でのリテールDX促進

Eコマースや小売業におけるデジタルトランスフォーメーション(リテールDX)は、顧客体験を向上させるためにシームレスでスケーラブルなソリューションが求められます。弊社が開発した仮想待合室システムは、チケット販売からEコマースまで対応し、トラフィック管理の最適化、サーバー過負荷の防止、公平なアクセスの確保やシームレスなユーザー体験を提供します。堅牢なサーバーレスアーキテクチャを基盤とするこのソリューションにより、小売業者はピーク時の急激なアクセス増加にも対応しながら、パフォーマンスと信頼性を維持することができます。

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事例